19日の東京株式市場は、米連邦準備制度理事会(FRB)による量的金融緩和縮小を受け、約5年2カ月ぶりとなる1ドル=104円台まで下落した円安を好感し、ほぼ全面高の展開となった。日経平均株価は年初来高値を更新し、終値は前日比271円42銭高の1万5859円22銭と、リーマン・ショック前の2007年12月12日以来、6年ぶりの高値水準となった。
緩和縮小は、主要国の株高を支える緩和マネーの減少につながる一方、日米の金利差拡大が円安につながるなど、日本株にとってはプラス面とマイナス面があった。しかし、不透明だった米金融政策の先行きが示されたうえ、米国株が史上最高値を更新するなど世界的に投資資金が株式などのリスク資産に流入。マイナス材料が打ち消された。
5月22日にはFRBのバーナンキ議長が緩和縮小に言及したことで、翌23日の平均株価は1143円安と急落。新興国にとっての影響はさらに大きく、インドネシアやフィリピンなどで投資マネーがいっせいに引き上げられ、株安と通貨安が加速した。
しかし、19日の新興国株はおおむね堅調で、インドネシアの主要株価指数は0.9%上昇した。大和証券の山田雪乃シニアストラテジストは「縮小規模が小さく、実質的に緩和的な経済環境が当面続くと受け止められた」と指摘した。
今後の見通しについても、市場では前向きに受け止める見方が多い。
カブドットコム証券の河合達憲チーフストラテジストは「緩和縮小決定は米国経済が堅調である証左でもあり、日本株は、『米株高』と『円安』という2つのエンジンに火がついた状態」と指摘する。米国の債務問題や、来年4月の消費税増税による景気落ち込みなど、先行きに懸念材料はあるが、足元の市場環境は大きく好転してきた。