オートメーション化が進み、機能が充実すればするほど、高齢者から遠ざかってしまうハイテク家電。その代表例であるテレビでは、リモコンにずらりと並ぶ小さなボタンへの抵抗感が強く、押し間違えても対応できず、子供に電話するか直接電源を抜いてしまう人がほとんどという。
中国家電協会がコンサルティング会社、奥維諮詢に委託した「中国高齢者家電需要調査研究報告」では、生活水準の向上や固定観念の変化にともない、中国の高齢者が家電購入にお金を惜しまなくなっていることが分かった。しかし、同時に自分に合った家電購入の難しさに悩んでいるとの実態も明らかになっった。また、将来的には中国で毎年600億元規模の高齢者向け家電需要が生まれるとの予測が示されている。
にもかかわらず、高齢者向けの専用商品を開発することについて、多くのメーカーは二の足を踏んでいる。
◆大手、携帯に参入せず
あるテレビメーカーの関係者は「通常のテレビに比べれば、高齢者向けの市場は小さく、価格を抑えることは難しい。しかし、高齢者は価格に敏感であり、この矛盾が開発を躊躇(ちゅうちょ)させている」として、携帯電話でも大手が参入していない理由はここにあると解説する。
生産規模の大きさから利益を確保している国内メーカーにとって、小規模市場向けの商品開発は慎重にならざるをえない。しかし、高齢化が加速する中国で、今後どれほどの勢いで高齢者向け家電市場が発展していくのかについては、多くのメーカーが「研究する価値がある」との見解を示している。(北京青年報=中国新聞社)