【ワシントン=小雲規生】オバマ米大統領は28日夜(日本時間29日午前)、上下両院合同会議で2014年の施政方針を示す一般教書演説を行う。オバマ氏は演説で最低賃金引き上げに向けた取り組みを表明。中間層支援の継続による経済成長に意欲を示す。外交面ではイランの核問題やシリア内戦を取り上げ、外交交渉による対応を最優先させる方針を確認する。
オバマ氏は連邦政府の契約企業職員らの最低賃金を国の最低賃金より2・85ドル高い時給10・10ドルとする大統領令に署名すると発表する。議会では共和党が国全体の最低賃金を引き上げる法案に反対しているが、連邦政府としての取り組みを先行させて共和党の協力を促すかたちだ。
また、長期失業者対策を目的とする産業界との協力や、教育制度改革による就業機会の向上なども打ち出し、中間層支援を明確にする。さらにオバマ氏は最重要課題のひとつと位置づける移民制度改革の推進にも言及。気候変動問題についても再生可能エネルギーの普及などを通じて取り組む考えを表明する。
一方、外交面ではイランのウラン濃縮活動に制限を加える共同行動計画の履行開始や、シリアの化学兵器全廃に向けた合意などの実績を強調。アフガニスタンに駐留する米軍戦闘部隊を今年末までに撤退させる方針も確認し、軍事行動よりも外交を優先させて紛争解決を目指す方針を改めて示す。また中東などで活発化するテロ活動への対応の継続も取り上げる。