財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の吉川洋会長(東大大学院教授)は5日、フジサンケイビジネスアイの取材に応じ、4月からの消費税率引き上げ後の日本経済の見通しや、財政再建の道筋などについて語った。
--足元の日本経済の状況をどうみる
「アベノミクス1年目は円安株高による資産効果で、50~60代前半中心の消費主導で景気が回復した。昨年10~12月期の実質GDP(国内総生産)で設備投資がプラスになったのも明るい材料。4月以降の経済成長は、足元の賃上げの動向がカギになる」
--まだ業績回復が見通せない中小企業もある
「今春闘では大企業でベースアップの動きが鮮明だ。中小企業は大企業よりは苦しいが、消費に近いサービス業など非正規社員の賃金水準も上がっており、夏以降も引き続き内需が経済を牽引(けんいん)する形で、経済成長が続くと考えている」
--2020年の基礎的財政収支の黒字化は達成困難な状況だ
「15年10月に予定されている消費税率の8%から10%への引き上げは、財政健全化のために必要だ。リーマン・ショックのような経済危機などは別だが、足元の経済指標の数字に一喜一憂すべきではない」
--毎年1兆円ずつ膨らむ社会保障費の見直しは
「子育て支援には1兆円くらい充てたほうがいいと思うが、政策経費の4割を占める社会保障費の削減が前提だ。経済財政諮問会議で予算の使われ方を検証し、バラマキに終わらせない仕組みも必要。今月から議論を始める財政審では、6月の政府の骨太方針策定に向け、年金の支給開始年齢の引き上げなどを含め、歳入、歳出の両面で財政の方向性を示したい」