深刻化する中国の環境汚染に歯止めがかからない(中国新聞社)【拡大】
中国で開催された「両会」(全国人民代表大会=国会、中国人民政治協商会議=国政助言機関)では、「PM2.5」(微小粒子状物質)問題が焦点となった。
両会報道に熱を帯びる中国の主要メディアもこの問題に注目、水性塗料の国内トップメーカー晨陽水漆(河北晨陽工貿集団)の幹部をスペシャルゲストとして招いた。
同社の製品は従来建築内外装から子供のおもちゃまで幅広く使われているが、今注目を浴びているのは環境保護に効果的だという水性塗料だ。
塗料には油性と水性があり、油性塗料はシンナーなど石油系溶剤で希釈し、水性塗料は水で希釈するため、省エネ、安全、環境保護の観点から見て雲泥の差がある。かつては水性塗料の機能性、耐久性が油性に比べて劣るとされたが、現在では改善され、世界的には水性塗料への移行が必然的になっている。
ヨーロッパでは水性塗料使用率が80~90%に達し、欧州連合(EU)では油性塗料製造・販売が厳しく規制されている。しかし中国では現在も油性塗料が市場シェア90%を占め、水性塗料との違いは一般にはほとんど知られていない。
専門家は油性塗料の大量使用がPM2.5発生の重要な原因になっていると指摘する。PM2.5は自動車の排気ガス、発電・工業などで直接排出される粒子のほか、VOC(揮発性有機化合物)などガス状大気汚染物質が大気中で化学反応を起こすことにより発生する粒子も21%を占めており、その内約18%が油性塗料の溶剤によるものだという。
晨陽水漆は早くから環境保護と塗料の関係に着目し、環境対応型塗料の研究開発と生産を進めてきた。
現在では、水性塗料関連で50以上の特許を持ち、水性塗料の中国国家標準(GB)の制定にも関わった。また業界で唯一、水性塗料の研究・宣伝拠点を全国に設置している。
同社の水性塗料生産能力は12万5000トン。同等規模の油性塗料生産と比較して、溶剤使用は10万トン減少し、石油なら20万トン、石炭なら28万6000トンを節約できる。二酸化炭素(CO2)排出量は71万5000トン減少し、これは乗用車排気ガス10万台分の年間CO2排出量に相当するという。(中国新聞社)