創造的都市型産業集積創出助成事業<東京都の産業集積・創出事業>

2014.4.24 05:00

創業支援施設かけはしに入居する株式会社COLLESTA。鈴木通夫インキュベーションマネージャー(左端)が訪問支援する

創業支援施設かけはしに入居する株式会社COLLESTA。鈴木通夫インキュベーションマネージャー(左端)が訪問支援する【拡大】

  • 足立区の企業を紹介する足立区産業展示会あだちメッセ=2014年1月17日、北千住マルイ11階会場
  • 産学公連携事業に携わるメンバー。後列左から、土屋亘弘氏、齋藤裕也氏、東京電機大学産官学交流センターの関口武英課長待遇、前列左から、池田賢太郎氏、鈴木通夫氏、谷口久子氏

 ■新たな産学公連携プラットフォーム形成

 ◆足立区 大学校舎内に同居 大学の知見、人材を生かす

 足立区は、平成23年度から3年間、東京都の「創造的都市型産業集積創出助成事業」の認定を受ける中、24年度から足立区内に開設した東京電機大との連携により、産学公連携の拠点施設を北千住駅から徒歩数分、旧中学校校舎を活用した東京電機大学東京千住アネックス4階に形成した。区内の産業活性化策を実施する新たな産学公連携プラットフォームとして、着実な歩みを始めている。

 ●8割以上が小・零細企業

 産学公連携の拠点施設のおかれる千住地区は江戸時代に日光・奥州街道から江戸へ向かう北の玄関として栄えた宿場。現代でも北千住駅はJR、私鉄、地下鉄が乗り入れ、東京都北東部屈指のターミナルだ。近年は住宅、商業施設、大学など都市基盤が整備され、足立区発展へ向けた拠点となりつつある。

 足立区の産業は金属加工、繊維、皮革、プラスチックなどのモノづくりが知られる。製造品出荷額は23区内5位(平成22年)だが、中国など海外企業との価格競争は厳しい。製品・技術の高付加価値化、経営の革新が必要な状況だが、事業所の8割以上が従業員9人以下の小・零細企業で技術の独自開発や経営改善に向ける余力が乏しく公的支援が求められている。また、大学に製品や技術の相談をしたくとも、数年前まで区内に大学がなかった。

 区内事業所は減少している。東京都の調査では区内の従業者数4人以上の工業関連の事業所数は平成11年に1931で2万3932人が従業していたが、平成22年は1048、1万4228人と減少。大規模工場は区外へ移転し、モノづくりの集積地域もなく、大半が住工混在地にて、近隣への環境面で気を使いながら操業している。

 ●大学の連携 人材を活用

 課題山積の中、東京電機大が20年6月、東京千住キャンパスを24年度から開設し大学本部を移すという決定を機に、足立区は「あだち産学公連携センターによる産業創出拠点整備計画」の構想と実施へ動いた。

 狙いは、大学の協力のもと、初の本格的な産学公連携体制を形成し、大学の研究成果と研究人材、創業支援や産学連携に関する知見や支援人材を生かすことで区内事業所の「経営革新」「創業支援」を進め、さらに「販路拡大」へつなげることだ。大学側も「大学の使命である社会貢献へ注力し、積極的に地元貢献したい」(東京電機大学産官学交流センターの齋藤裕也課長)とのスタンスで応えた。

 準備段階の21年の区内調査では産学連携経験があると回答した事業所は5.1%に過ぎず、まず産学の距離を縮めるため、工場や大学研究室を相互訪問する見学会、技術勉強会から始めた。都の事業認定を受けた23年度以降は徐々に本格化。「企業のための相談業務や大学研究者との橋渡しを積極的に推進するため足立区担当の鈴木啓介産学連携コーディネーター1人を大学側から週2日、翌年以降は週3日配置してもらった」(池田賢太郎産業政策課経済活性化係長)。

 結果、技術連携件数は23年度34件、24年度40件、25年度52件と増加。新製品や新技術開発への共同研究は23年度に0件だったが24年度2件、25年度3件実現。現在は産学連携コーディネーターの増員を検討している。

 ●創業するなら足立区で

 足立区は“創業するなら足立区で”というキャッチフレーズを掲げ、新たな企業誘致と育成にも注力している。創業支援施設「かけはし」は区内で3拠点目の創業支援施設だが、産学公連携の拠点機能とともに東京千住アネックスに同居する新形態の創業支援施設だ。

 独立オフィス(個室)14室、シェアードオフィス(共用部)12ブースが用意され、24社が現在入居している。業種は設計やIT系、コンサルティングなどのオフィス型企業が多い。個室は創業3年未満の企業が最長3年間、共用部は創業準備段階の企業が最長2年間入居できる。

 「名称は大学と区の架け橋という意味で大学側がつけた。他の区内の創業支援施設とは異なり、運営は大学が行い、足立区が費用を補助する新方式。入居審査も大学が実施している。大学の鈴木通夫インキュベーションマネージャー1人が施設内企業専属となり、週3日、創業相談や大学への橋渡しを支援する。他施設の入居企業とはセミナーや交流会、入居者同士のマッチング、勉強会で切磋琢磨できる環境を作っている」(谷口久子創業支援係長)。

 注目企業も育ちつつある。半導体製作での接着に使用する次世代型ディスペンサーの開発をするPRIMEdot社は24年度の足立区創業プランコンテストで最優秀賞を受賞し、東京都ベンチャー技術大賞候補になった。

 経営革新や創業に励む区内の事業所や企業の販路を拡大するため、足立区は毎年2日間、「足立区産業展示会あだちメッセ」を開催し、区内企業の展示、商談の場を設けて支援している。

 25年度は1月17、18日に開催。出展103社、来場者は約5400人。「徐々にビジネス目的の来場者が増え、新規顧客を獲得した出展企業も増えている。区外の発注企業を招致し事前に商談組み合わせをつくる受発注情報交換会を同時開催し、受発注促進に努めたのも奏功した」と池田係長は手応えを感じている。

 東京都の創造的都市型産業集積創出助成事業は25年度で終了したが、土屋亘弘中小企業支援課長は「26年度以降も産学公連携プラットフォームを生かして、足立区の産業活性化へつなげていきたい」と語った。

                  ◇

 ≪東京都23区部における工業主要指標のランキング≫(従業者4人以上)

 順位   事業所数       従業者数(人)    製造品出荷額等(万円)

  1 大田区  1,748 大田区 25,314 板橋区 55,320,906

  2 足立区  1,048 板橋区 19,103 大田区 47,303,499

  3 墨田区  1,032 墨田区 14,306 江東区 30,459,329

  4 葛飾区    950 足立区 14,228 墨田区 27,421,286

  5 江戸川区   941 江東区 13,003 足立区 24,480,501

  6 板橋区    857 新宿区 11,515 新宿区 23,890,730

  * 都全体 15,082    310,022    824,217,578

 東京都の平成22年(2010年)工業統計調査報告より引用

                  ◇

 ■「ものづくり産業集積強化支援事業」と「創造的都市型産業集積創出助成事業」

 東京都(産業労働局商工部地域産業振興課)は、都内の産業空洞化を防ぎ、今後の首都を担う既存産業や新産業の立地確保と育成を図るため、「ものづくり産業集積強化支援事業」(平成24年度~)と「創造的都市型産業集積創出助成事業」(平成20年度~)を創設し、地域の産業振興に主体的に取り組む区市町村の活動を支援している。本シリーズは6回にわたり、都が承認した各市区町村の地域中小企業等に対する各種推進事業の事例を紹介する。

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