韓国を訪れ、会談前に朴槿恵大統領と握手するオバマ米大統領=25日、ソウルの青瓦台(ゲッティ=共同)【拡大】
【ソウル=小雲規生】オバマ米大統領と韓国の朴槿恵大統領は25日、ソウルで会談し、北朝鮮の核・ミサイル開発問題への対応を含め、地域の安定のために緊密に連携していくことで合意した。またオバマ氏は日本と韓国が慰安婦問題などの歴史認識で対立していることについて、日韓双方に対し前向きな解決に取り組むよう促した。
朴氏は会談後の共同記者会見で、北朝鮮が4回目の核実験を行う準備を整えたとの見方を示した。またオバマ氏は北朝鮮の挑発行為は「北朝鮮を孤立させるだけだ」と述べ、北朝鮮への追加制裁を検討する考えを示した。
日韓関係をめぐって、オバマ氏は慰安婦問題について「戦時中とはいえショッキングだ」とし「甚だしい人権侵害だ」と述べた。
また歴史を公正に理解することの必要性は安倍晋三首相も理解しているとしたうえで、「日本と韓国は未来を見据えるべきだ」として両国に対し関係改善を促した。一方、朴氏は慰安婦問題について「誠意のある実践が必要だ」として早急な対応を求めた。
2015年に予定される朝鮮半島における戦時作戦統制権の米国から韓国への移管も議題になり、両首脳は移管のタイミングについて協議を続けることで一致した。さらに両首脳は12年3月に発効した米韓自由貿易協定(FTA)の履行状況についても協議。米産業界にはFTA発効後も自動車市場の規制や金融市場の透明性が不足しているといった批判があることを踏まえ、今後も履行を確実に進めていくことで合意した。
オバマ氏は会談の冒頭、韓国全羅南道の珍島沖合で旅客船「セウォル号」が沈没した事故を受け、朴氏とともに黙(もく)祷(とう)をささげた。事故当時にホワイトハウスに掲げてあった星条旗を朴氏に渡して弔意を表した。朴氏は「韓国民はこの危機的な瞬間を乗り越え、韓国を再生させることができる」と話した。