日米会談後、共同記者会見する安倍首相とオバマ米大統領=4月24日午後、東京・元赤坂の迎賓館【拡大】
--米国は財政問題を抱え、アジアにおけるプレゼンス低下が危惧されます
その通りです。加えて、シリア問題はじめ、オバマ大統領の対外政策への消極姿勢などを鑑みれば、日本の主権を守り、国民の生命・安全・財産を守り抜くには、尖閣の実効支配強化はもちろん、法整備も含め、「自分の国は自分で守る」体制を具体化すべきです。その意味で、集団的自衛権の行使容認は喫緊の課題ですが、公明党は慎重姿勢を崩していません。これが国防の足かせにならないよう願うばかりです。
併せて、戦略的な外交・防衛の取り組みも求められます。従来の対米追従一辺倒ではなく、インドや東南アジア諸国、オーストラリアなどの自由や民主主義、基本的人権、法の支配といった価値観を同じくする国々との連携を強化し、アジア・太平洋地域の平和と繁栄を実現しなくてはなりません。
また、対中包囲網の構築という観点から無視できないのがロシアの存在です。ウクライナ情勢をめぐり米欧とロシアの対立が深まっていますが、日米欧の対応次第では、ロシアの孤立化から中ロ接近を招き、国際秩序を揺るがす事態ともなりかねません。日本としては米国と協調しつつも、米ロの懸け橋となるような外交姿勢をとるべきだと考えます。
--日米間の懸案事項であるTPPについてはいかがでしょうか
TPPは日本の成長力を強化するのみならず、日米主導の通商秩序形成による対中抑止の役割も担います。
TPPを成長戦略と位置付ける安倍政権ですが、農産品重要5項目については関税撤廃の例外扱いとするよう主張しているため、交渉は難航してきました。日米間で合意は得られているものの、国内事情に配慮して公表は控えているとの報道もありますが、いずれにせよ選挙事情や党利党略からの判断で、高い関税で生産者を保護し続けても、国内市場は先細るばかりです。