北朝鮮が全ての拉致被害者に関し全面的調査を約束したことを発表する安倍晋三首相=29日午後、首相官邸(酒巻俊介撮影)【拡大】
「安倍政権にとり、拉致問題の全面解決は最重要課題の一つだ」
首相は29日、記者団に対しこうも強調した。父である安倍晋太郎元外相の秘書官時代から拉致問題に取り組み、病でいったん首相の座から退きながら再び再起を目指した理由も「拉致問題は自分でなければ解決できないとの強い思いがあったからだ」(周辺)。
これまで北朝鮮は、核・ミサイル開発問題でも拉致問題でも譲歩をほのめかしては日本をはじめ各国から支援を引き出し、揚げ句、それを裏切ってきた。だが、その経緯、北朝鮮の手法を誰よりも熟知し警鐘を鳴らしてきたのも首相だ。
「平成19年7月の参院選で安倍政権が勝利していれば、拉致被害者は間違いなく帰ってきた。北朝鮮側は安倍政権が長期政権になると思っていたし、拉致被害者を帰国させれば国交正常化までいくわけだから」
第1次安倍政権で首相秘書官を務め、北朝鮮との水面下交渉を担当した井上義行氏(現みんなの党参院議員)は22年7月、産経新聞のインタビューにこう語っていた。今後も事態は予断も楽観も許さない。とはいえ、長く膠着(こうちゃく)していた拉致問題にようやく新たな展開が出てきた。(阿比留瑠比)