韓国、台湾、香港への中国人旅行者数が急増している。背景には、中国人の所得水準上昇に加え、中国人へのビザ(査証)発給要件緩和などの制度的な要因が挙げられる。
香港では、2002年前後の新型肺炎(SARS)騒動で激減した旅行者数を取り戻すため、香港政府の要請により中国本土からの個人旅行が大都市の住民から順次解禁され、03年以降は香港来訪者の過半を本土からの中国人が占めることとなった。
台湾では、馬英九政権下の対中接近政策の一環として、08年に中台直行便の就航および中国人観光客の受け入れが開始された。
韓国では、10年になってから中間所得層向けのビザ発給要件緩和が行われている。
韓国、台湾、香港はいずれも旅行収支がマイナスであったが、近年は収入が増加して旅行収支は改善傾向にある。
日本では、外交関係の悪化などから中国人旅行者数が伸び悩んでいたが、代わりに他のアジア地域からの旅行者数が増加し、これまで赤字が続いてきた旅行収支がトントンに近づきつつある。14年に入ってからは訪日中国人客も増加している。(編集協力=日本政策投資銀行)