中でも社会保障費は、前年度比で1兆円以上も上積みされた。介護事業者に支払う介護報酬こそ2・27%引き下げられたが、財務省が当初求めた4%引き下げからはほど遠い決着だ。消費税率再引き上げ時期の先送りで打ち切る方向だった子育て世帯向けの現金給付も、一転して継続する方針となった。
防衛費も4兆9800億円と3年連続の増額。米軍再編経費が上積みされたほか、自衛隊機の長期契約予算も認められるなど、安全保障政策を重視する安倍晋三首相の意向が反映された格好だ。麻生太郎財務相はは「(今後も)徹底した歳出面の改革が必要」と歳出削減の道半ばを認める。
懸念されるのは、財政再建シナリオの狂いだ。政府は法人税や消費税増税による税収の伸びにより、新規国債発行額については前年度から4兆円以上も圧縮したとして、「財政健全化目標の達成が見込める」(安倍首相)と強調する。だが、歳入の4割近くを借金に頼る財政構造は依然として続くほか、高齢化の進展で毎年1兆円規模で積み上がる社会保障費の自然増を賄う安定財源は確保のめどが立っていない。
日本経済は回復の勢いが衰え、アベノミクスもデフレ脱却を実現できるかどうかの正念場を迎えている。今回の予算案で掲げられた政策メニューが効果を発揮しなければ、巨額の借金だけが残される状況となりかねない。