物価目標「2%」先延ばしも 日銀、達成時期修正を検討

2015.2.19 05:00

 日銀は「2年程度」としている物価目標2%の達成時期について、先延ばしを含めて修正する方向で検討を始める。原油安で足元の物価は伸び悩むものの景気は回復しつつある。このため、最高意思決定機関の政策委員会メンバーの多くが2年にこだわるべきではないと考え始めているようだ。

 日銀は昨年10月末の金融政策決定会合で追加緩和に踏み切った。原油安による物価の伸び悩みが大きな要因だったが、原油価格はその後も下落。物価の前年比伸び率は昨年12月に0.5%(消費税増税の影響を除く)まで鈍化した。

 日銀は2013年4月、大規模緩和に踏み切った際に「2年程度で2%」の物価目標を掲げた。昨年4月からは「15年度を中心とする期間」と説明。市場は15年度中と受け止めたが、日銀の黒田東彦(はるひこ)総裁は1月の記者会見で、2%達成が16年度にずれ込む可能性に初めて言及した。

 これに対し、甘利明経済再生担当相は1月末の記者会見で、「2年程度」の期間について、「もっとアローアンス(余裕)をもっていい」と発言し、先延ばしを容認した。

 原油安で企業や家計の可処分所得が増え、景気は緩やかな回復に転じている。こうした中、日銀が物価目標を達成するため、もう一段の追加緩和に踏み切れば、「円安による輸入品の価格高騰を招き、原油安の効果を打ち消してしまう」との慎重論が政権内で根強い。

 日銀の政策委員会メンバーの間でも「日銀の都合で無理やり2%に引き上げても国民生活は苦しくなる」との声が出始めている。

 4月には大規模緩和のスタートから2年を迎える。15~17年度の物価見通しを公表する同月末の決定会合に向けて、達成時期を先延ばしする案や曖昧な表現で時期を明示しない案などが議論されそうだ。

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