【高論卓説】国会は少子化対策など本質的論議を 朝比奈一郎 (2/3ページ)

2015.3.9 05:00

 この立法趣旨は、本質的な議論がきちんと進むようにすること、すなわち、議題と関係ない「質問」で野党議員が無益な議事妨害をしないようにすることであろう。政権と野党の対決の舞台となっている予算委員会では、現在、当然ながら「来年度予算」が最大のテーマであり、そのことについて「質疑」が行われるのが最も大切だ。本質を見失ってはならない。

 目下、国家の本質的課題として「少子化対策」が叫ばれている。元総務大臣の増田寛也氏らがまとめた「消滅可能都市」についてのリポート(2040年に一般に出産可能な20~30代の女子が半減する都市が全体の約半分を占める)や、14年の出生数が約100万人にまで落ち込んだこと(筆者は1973生まれだが、同年の出生数は約210万人)を持ち出すまでもなく、少子化対策は「待った無し」の感がある。

 しかし、少子化対策予算は、15年度予算の政府原案を見る限り、私には抜本的に拡充しているとは思えない。こういう問題こそ、国会で本質的な与野党の論戦を期待したい分野だ。

 出生率を上げるために、「子育て支援」中心で足りるのかという議論、すなわち、婚姻の促進をどうするのか(約40年前と比べて恋愛結婚の数はほぼ変化がないが、見合い結婚は約10分の1に激減)とか、婚外子の問題をどう扱うのか(出生率が回復しているフランスでは事実婚のカップルも制度的・社会的に受け入れている)など、根本的な議論が必要だ。男性の勤務時間の長さと女性の出生率の負の相関関係なども研究されている。

 国会議員は、国会の本義に立ち返って、本質についての堂々たる議論を展開すべきだ。選ばれし者としての矜持(きょうじ)をもって、民主主義を守ることが求められている。

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