【論風】元経済産業事務次官・北畑隆生 成長戦略の鍵握るサービス産業 (2/3ページ)

2015.3.12 05:00

 ◆所得倍増計画とソフトノミクス

 1965年からのいざなぎ景気の5年間、日本経済は年平均で11.5%も成長した。その中心は製造業だ。直前に当時の池田勇人総理が打ち出した所得倍増計画がスケールの大きな成長戦略だった。「10年で国民の所得を2倍にする」という公約を信じ、国民は「新三種の神器」と呼ばれた自動車、カラーテレビ、エアコンを月賦(借金)で買った。大きな需要が期待できるので経営者は銀行からの融資で各地に工場を建てた。若者の集団就職で生産性の低い農業分野から生産性の高い工業に労働力が大量に移動し日本全体の生産性が向上した。その結果、企業は設備投資の借金を返済。賃金が上昇し、国民も借金を返すことができた。

 所得倍増は7年で達成し、自動車、家電産業が日本の主力産業になった。1985年からのバブル景気の主力はサービス産業だった。当時の中曽根康弘首相は、国民の欲求(需要)はモノからスポーツ、健康、レジャーなどサービスに移動しているとしてサービス需要を牽引(けんいん)力とする経済成長を目指した。

 「ソフトノミクス」という言葉が流行した。この認識は間違いではなかったが、具体策とその結果がよくなかった。リゾート法が制定され、全国の企業がゴルフ場、スキー場、ホテル、娯楽施設に投資した。いざなぎ景気との違いは生産性の向上が大きくなかったことだ。多くの企業は生産性向上よりも土地の値上がりによる投資回収を考えた。土地神話が崩れると企業は不良債権を抱え込み、大手銀行が倒産する騒ぎとなった。バブルの崩壊である。

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