広東省広州市の輸入品販売店でイタリアブランドの粉ミルクを手に取る女性たち。中国の粉ミルク市場は、高級品と普及品の二極化が顕著になってきているという(中国新聞社)【拡大】
◆販促費かさみ
業界不振の状況は、一部の企業の業績報告からも明らかだ。
貝因美がさきごろ発表した14年の業績速報によると同社の総売上高は前年同期比17.24%減の50億6200万元(約985億円)、営業利益は88.88%減の1億400万元だった。上場企業の株主に帰属する最終利益は90.89%減の6567万7700元にとどまった。同社は、大幅な利益減は売上高の減少とコスト高によるものと説明している。
雅士利は今年1月時点で、14年の最終利益が40%減少する予測をすでに発表していた。これは同社にとって過去にない大幅下落となる。
ある粉ミルク販売業者は「いまや業界の二極化は明らかだ」と指摘。高級ブランドは日増しに業績を上げる一方で、中小ブランドは一層の低迷に陥っている。ワイスのシェアは13年には1.8%だったが、昨年は2.9%に伸びた。だが(福建省の)明一嬰幼児栄養品のような地域ブランドは、販売量が3分の1も落ちているという。
上記の専門家は「業界不振は生産能力の過剰や在庫過多と無関係ではない」という。昨年、業界各社は相次いで生産能力を拡大し、在庫は例年よりも増えた。多くの企業が在庫圧縮と販促に力を入れているが、通年の販売目標を達成できていない。
貝因美が業績不振の原因とするコスト高も、長期的な販促活動によるものだ。在庫圧縮のため末端市場で大量の販促を行ったことで、コストが最終利益に影響した。加えて全商品で値下げを行ったため、販売店側の販売への積極性が減り、売り上げに響いたという。
ある販売業者は「今年は二極化がさらに進む」と予測している。高級ブランドは引き続き高級路線を行き、中小ブランドは販促の末に値下げに走るが、中小のシェアは小さいため、業界への値下げの影響は少ないという。(羊城晩報=中国新聞社)