消費増税1年 付加価値、経済構造にくさび 消費冷え込み景気回復に遅れ (3/3ページ)

2015.3.31 06:45

シニア世代をターゲットに、高付加価値の商品展開を目指すメガネスーパーの新業態店舗「DOCK」=27日、東京都港区

シニア世代をターゲットに、高付加価値の商品展開を目指すメガネスーパーの新業態店舗「DOCK」=27日、東京都港区【拡大】

 「“円高・デフレシフト”の経済に、実質賃金の減少が襲いかかった」(湯元氏)結果、「もともと景気回復に疑心暗鬼だった消費者心理が冷え込み、回復の遅れにつながった」(メリルリンチ日本証券の吉川雅幸チーフエコノミスト)。

 連合が30日まとめた27日時点の今春闘の賃上げ幅は2.34%。原油安で家計の負担も和らぎ、日本経済は「8%ショック」を脱しつつあるが、17年の再増税に向けた環境整備はこれからだ。

 駆け込み需要の反動減に対する耐性強化は今後の重要課題の一つだ。法政大大学院の小峰隆夫教授は、欧州の一部では消費税に当たる付加価値税の税率を比較的短期で変更する仕組みがある点を念頭に、「日本でも駆け込み需要そのものを抑える施策が有効になる」と強調する。

 だが、より重要性を増すのはデフレシフトの経済構造にくさびを打つ試みだ。

 眼鏡販売大手のメガネスーパーは27日、東京・白金台に新業態店「DOCK(ドック)」をオープンした。目周辺のマッサージを施すスペースに加え、生活習慣まで踏まえた商品提案が売りで、きめ細かなアイケアが必要なシニア世代をターゲットに据える。

 業界の主流はレンズとフレームのセット定額販売で、激化する価格競争が業界全体の力をそいだ。だが1年前の駆け込み需要が、「日常身につける眼鏡だからこそ高品質商品の需要はなくならない」(星崎尚彦社長)との再発見を生んた。

 開店初日に訪れた女性客(85)はスタッフの勧めを参考に、「想定していた価格よりいいものに決めました」と口元をほころばせた。「消費者にも安さ以外の価値に気づいてほしい」と星崎氏。自らの再発見を伝えていく必要性を感じている。

産経デジタルサービス

産経アプリスタ

アプリやスマホの情報・レビューが満載。オススメアプリやiPhone・Androidの使いこなし術も楽しめます。

産経オンライン英会話

90%以上の受講生が継続。ISO認証取得で安心品質のマンツーマン英会話が毎日受講できて月5980円!《体験2回無料》

サイクリスト

ツール・ド・フランスから自転車通勤、ロードバイク試乗記まで、サイクリングのあらゆる楽しみを届けます。

ソナエ

自分らしく人生を仕上げる終活情報を提供。お墓のご相談には「産経ソナエ終活センター」が親身に対応します。