昨年10月以来となった環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の日米閣僚協議は、難航していた両国の協議進展を“演出”し、交渉全体の加速につなげることを狙った。ただ焦点となったコメや自動車分野の関税の扱いは日米双方にとって国内が最も過敏に反応する最重要課題だけに「間合いを詰める大きなチャンス」(甘利明TPP担当相)とされた今回の協議も緊迫した攻防を繰り広げた。
甘利氏と米通商代表部(USTR)のフロマン代表による2日目の閣僚協議は20日朝に始まり、途中、農業や自動車分野の交渉官らも交えながら同日夜まで断続的に続いた。甘利氏はフロマン氏との協議に集中するため、当初出席予定だった4月の月例経済報告関係閣僚会議を急遽(きゅうきょ)欠席。ここにきても簡単には歩み寄れない日米協議の厳しさを浮き彫りにした。
もともと今回の閣僚協議開催には「日米首脳会談を控えて決裂という事態にでもなれば会談にも悪影響を及ぼす」(政府高官)と懸念する声も上がっていた。