□スパイダー・イニシアティブ代表 森辺一樹
1992年、世界競争力ランキングで堂々の1位を獲得した製造大国日本が、その後の20年間を後退し続けた背景には、製造業における価値の源泉が大きく変わってきたことが挙げられる。
日本の近代的モノづくりの原点は、やはり何といっても欧米からの学びであることは否定できない。自動車や家電、コンピューター、そして雑貨や食品などの日用品に至るまで、多くを欧米から学んだ。
もちろん、中には日本独自の発展を遂げたものも多くあるが、根っこのインベンション(発明)に関しては、大半が欧米発であることは否定できない。
しかし、70年代に入ると、日本のモノづくりは急激な進化を遂げた。欧米が発明したものに独自の機能を加え、品質を極限まで磨き、自動車も家電も何もかも、欧米から王者の座を奪い、“Made in JAPAN”こそ、世界最高品質の象徴と称賛され、世界中に輸出していった。まさに、日本のモノづくりの黄金時代である。
それから40年ほどの時が流れ、日本のモノづくりは迷走している。機能に関しても、品質に関しても、決して低下しているわけでもないのに、なぜ、世界市場で以前のような圧倒的な勝利を得られないのか。
その理由は2つある。1つ目は、多くのモノがコモディティ化(均質化)してしまい、中国や韓国、東南アジア諸国連合(ASEAN)各国の企業でも作れるようになってしまったからだ。
多くのモノが発明から何十年、何百年の時を経て、機能や品質の差が出難い極限レベルにまで達してしまっているのだ。
2つ目の理由は、輸出市場が今までの日欧米の先進国に加えて、アジアを中心とした新興国も含まれるようになったことだ。