【上海=河崎真澄】中国のマクロ経済指標が軒並み低迷している。英金融大手HSBCが23日発表した中国製造業の景況感を示す購買担当者指数(PMI)は6月に49・6と、好不況の判断の節目となる50を4カ月連続で下回った。輸出入や消費、インフレ率などの指標も不調続きで、4~6月の経済成長率は四半期ベースで、6年ぶりに7%を割り込む公算が大きい。
中国の経済政策で最優先課題の雇用維持や社会安定に悪影響が出かねないとして、追加利下げなどの金融緩和や、公共事業積み増しに踏み出す可能性がある。
PMIは、中国国家統計局も調査を行っており、今月1日には5月は50・2だったと発表したが、市場はHSBCの数値に信頼を置いている。HSBCの数値は5月確定値の49・2からわずかに改善したものの、製造業の伸び悩みは貿易や消費からも裏付けられる。
中国税関総署の発表によると、5月の中国の輸出は前年同月比2・5%減、輸入は同17・6%減で、輸出入ともに3カ月連続で落ち込んだ。中国自動車工業協会がまとめた5月の新車販売台数は同0・4%マイナスの190万台あまりと、2カ月連続で前年同月を下回る異例の事態だった。
経済成長に密接にリンクする消費者物価指数(CPI)も、5月に同1・2%上昇と、4月の同1・5%から減速。年間抑制目標の3%を大幅に下回り、デフレ懸念もささやかれる。鉱工業生産や電力消費量などの伸び率も低調で、中国当局の公式発表だけをみても実体経済が勢いを失っていることは明らかだ。