上海株急落で個人消費は伸び悩んでいる。人民銀行は基準値に対する1日あたりの為替変動幅を、現在の上下2%からさらに広げる措置も検討中で、元安による景気浮揚を目指す。
また、昨年11月から4回行われた政策金利の引き下げなど金融緩和で、次なる利下げも視野に入った。公共事業など投資拡大による大型景気対策も打ち出さざるを得ないとみられる。
習近平政権は約2年前の誕生以来、国有企業の経営再編など痛みの伴う構造改革を優先させる「新常態(ニューノーマル)」路線を標(ひょう)榜(ぼう)してきたが、想定以上に実体経済が悪化し、成長優先路線にひとまず戻らざるを得なくなったようだ。
また、中国が国際通貨基金(IMF)に特別引き出し権(SDR)の構成通貨に人民元の採用を求めている問題では、「IMFが中国為替市場の自由度が後退したと判断すれば、年内の人民元採用は難しい」(市場関係者)という。人民元の国際化戦略にも、急ブレーキがかかった格好だ。