7月の全国の消費者物価指数(生鮮食品を除く)が前年同月比で横ばいに落ち込んだが、事前にマイナスを予想していた市場関係者の間では、思わぬ結果に「日銀の追加緩和期待が後退する」(大手証券エコノミスト)との見方が広がっている。
事前予想の平均はマイナス0.2%だった。また、エネルギー、生鮮食品を除いた指数は、農林中金総合研究所によると7月に1.0%に達したもようで、前月から上げ幅を広げた。同指数は、日銀が物価の基調を判断する材料として重視し始めている。
世界経済の減速懸念が広がる中で、市場ではこのところ日銀による追加緩和への期待が高まっていた。黒田東彦総裁が26日のニューヨーク講演で、「日本経済は完全雇用状態」などと強気の発言を繰り返したことも、市場の緩和期待を冷やした。
ただ、日銀が2016年度前半の達成を見込む「物価上昇率目標2%」について、市場関係者に「実現は難しい」と指摘する声は根強い。