アベノミクスで日本経済を緩やかな回復基調に乗せた安倍晋三首相だが、デフレ脱却に向けた取り組みは道半ばだ。特に最近は、国内の景気回復にも陰りが見え始める中、いかに景気を再浮揚させるかのほか、2017年4月の消費税増税を予定通り実施するかなど課題が山積している。
「3年間で20年近いデフレからの脱却が見えてきた」。甘利明経済再生担当相は8日の閣議後会見で、企業業績などを回復させたアベノミクスの実績を強調した。
ただ昨年4月の消費税増税後は、個人消費の回復ペースが鈍り、物価上昇にもブレーキがかかる。安倍首相は今後、成長戦略を軌道に乗せることに加え、中国経済の減速で影響を受ける足元の景気に配慮し、即効性のある経済対策が不可欠とみられる。
財政健全化への取り組みも途に就いたばかりだ。政府の「経済・財政再建計画」では、20年度までの基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の黒字化を掲げる。だが、内閣府の試算では6.2兆円の赤字が残るとされるほか、少子高齢化で増大する社会保障費をどこまで絞り込めるかも未知数だ。
経済再生と財政健全化の両立の鍵となる17年4月の消費税再増税も頭痛の種だ。安倍首相は「予定通り引き上げる」とするが、景気動向によっては再度の先送りを求める声が高まるとみられる。ただ度重なる増税先送りは、市場に対するアベノミクスの信任が揺らぐ可能性もあり、慎重なかじ取りが求められる。