米議会で発言する連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長=7月16日(ロイター)【拡大】
三菱総合研究所の武田洋子氏は「世界の金融市場の動揺が大きくなって日本の新興国向け輸出を押し下げ、企業マインドを冷やす可能性がある」と分析する。
ドル高が米国の輸出産業に逆風とみなされれば、ニューヨーク株や東京株が売られる可能性が出てくる。
日本総合研究所の牧田健氏は「実質賃金が伸び悩む中、中国景気の失速と(米利上げに伴う)株安のダブルパンチで個人消費は縮小する」と警戒する。
海外に進出する日系企業にとっては「米国で金利が急騰した場合、ドル調達コストが膨らむ」という心配もある。
国際通貨基金(IMF)は来年前半までの利上げの先送りを求めているが、利上げのタイミングやペースが不透明なことも投資家のストレスとなっている。
SMBC日興証券の牧野潤一氏は「将来の懸念がなくなるよう、9月にズバッと利上げし、その上で『年内はもうしません』とアナウンスすべきだ」と注文をつける。
一方、緩和を続ける日欧はどうか。
欧州中央銀行(ECB)のドラギ総裁は3日、FOMCに先立って国債を大量に買い取る量的緩和策の拡充を示唆した。
日本では14日、絶妙のタイミングで日銀の金融政策決定会合が始まった。市場では、FOMC前には金融政策を変更しにくいという見方が強い。
ただ、輸出や消費は弱含みで、原油安を受けて8月の物価は下落する恐れもある。米利上げで株安を招かぬよう、「日銀は予防的に追加緩和すべきだ」という声も高まっている。