今回の会合では連日、閣僚による全体会合は短時間で終了し、残された課題を2国間で詰める作業に多くの時間が費やされた。なかでも米国は新薬データで豪州との協議を優先し、懸案を抱える他の新興国との協議を後回しにし続けた。
これに不満をあらわにしたのがニュージーランド(NZ)のグローサー貿易相だ。「交渉国はNZが小国だからといって無視できるわけではない」。乳製品の扱いをめぐる米国との協議が一向に進まないことに、グローサー氏は怒りをぶちまけた。
大国間で問題を解決し、新興国を押し切ろうとする米国の交渉姿勢には日本の交渉団も危うさを感じていた。「本当に解決をさせたいなら、NZとの協議も同時並行で動かすべきだ」。会合4日目の朝。甘利氏はUSTRのフロマン代表に詰めよった。米国はようやく重い腰を上げ、NZとの協議は一気に進展した。だが、日本が懸念した通り、交渉は最後まですんなり終わらなかった。
交渉開始から5年、日本の参加から2年。難航を極めたTPP交渉は「大国の論理」と「新興国の意地」がせめぎ合う多国間交渉の厳しい現実を改めて浮き彫りにした。(アトランタ 西村利也)