日本の経常収支は、2000年代前半まで貿易収支の黒字が大半を占め、主役を張ってきた。しかし、その後の輸出の伸び悩みなどから、所得収支が稼ぎ頭となり、さらに訪日外国人の急増などでサービス収支の存在感も高まりつつある。こうした変化についてSMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは「日本は、モノ(貿易収支)ではなく、カネ(第1次所得収支)とサービス(サービス収支)で稼ぐ構造になってきている」と分析する。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉が大筋合意したことで「さらにカネとサービスで稼ぐ流れが強まる」(宮前氏)と見る。投資の自由化で、企業が海外から受け取る配当などが増えるためだという。