ただ、「爆買い」に来る富裕層の人たちは増えているが、それだけでいいのだろうか。日本のサブカルチャーなどに興味のある中国の大学生が、日本に個人旅行に行きたいと思っても、現状では簡単には訪日ビザを取得できない。観光ビザの取得要件には、大学生に対する配慮がないのが実情だ。
必要書類に明確な規定はないが、実際には、招聘(しょうへい)状や学生自身の資産証明などが必要だ。10万元(約189万円)以上の預金の残高証明が必要とされるようだが、アルバイトをすることが難しい中国人学生が個人で高額の資産を持っているわけがない。さらに、親名義の不動産などの資産証明の提出も求められるようだ。
米国の場合、中国人留学生は14年に27万4000人(日本は9万4000人)に達しており、旅行先としての人気も高いが、学生の観光ビザは面接重視で発給される。韓国は学生の観光ビザ発給に経済能力の証明は不要だ。
未来の中国を担う若い世代である大学生に気軽に日本に旅行に来てもらい、本当の日本の姿に直接触れてもらうことは、両国関係の未来にとって重要ではないだろうか。
全ての大学生というわけにいかないだろうが、手始めに中国政府が指定する「国家重点大学」の学生に対するビザ発給条件を緩和するなど、できることはいろいろあるはずだ。
◇
【プロフィル】森山博之
もりやま・ひろゆき 早大卒。旭化成広報室、同社北京事務所長(2007年7月~13年3月)などを経て、14年より旭リサーチセンター、遼寧中旭智業有限公司 主幹研究員、57歳。大阪府出身。