■輸出視野に品質向上必要
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の発効に伴い、果物はパイナップルの缶詰を除き参加11カ国からの輸入関税が全廃される。果物はコメや麦など日本が例外扱いを求めた「重要農産品5分野」から外れ、TPP交渉でも争点とされていなかっただけに、大筋合意後に次々と関税撤廃が明らかになったことで生産者には動揺が起きている。
最も話題に上ったのがオレンジだ。生鮮オレンジは現在、競合する国産温州ミカンの収穫期に関税率を高く設定し、12~5月の期間は32%、6~11月は16%となっている。これを、発効後には4~11月の関税を6年目、12~3月を8年目に撤廃することになった。
温州ミカンの国内生産量は最近4年間の平均で86万トン。一方、オレンジはTPP参加国の米国やオーストラリアを中心に同12万トンを輸入しており、ミカン類の消費量で約1割を占める。
輸入果物の価格は為替変動にも左右されるが、32%の関税が撤廃される影響は大きい。生産現場では「輸入オレンジがスーパーの売り場を占める」といった危機感が広がっている。
このほか、沖縄・宮崎県が特産のマンゴーや、山梨県の生産量が多いモモやブドウなど数多くの果物で関税が発効後に即時撤廃されるため、地域経済に与える影響は無視できない。TPPでは、温州ミカンの輸出関税が米国やマレーシアなど6カ国で新たに無税になるなど、日本以外の参加国の農産品関税も撤廃される。今後は、輸出も視野に入れた果物の品質向上が急がれる。
◇