■原産地規則 参加国製品使用促す
環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)で、関税の撤廃や引き下げなどの優遇措置を受けられる製品は参加12カ国内で製造された「メード・イン・TPP」に限られる。それを判断するため、TPP参加12カ国内で製造された部品をどの程度使うべきかを取り決めたルールが「原産地規則」だ。参加各国の製品使用を促し、競争で有利になることが期待される。
日本の基幹産業である自動車の場合、TPP域内から調達した部品や、域内で組み立てる工程など「付加価値」の合計が55%以上であれば、関税の優遇措置を受けられる。例えば200万円の自動車なら、そのうちの110万円以上の価値が域内で生み出されれば対象となる。
また、55%のうち10%はドアやバンパーなど7品目で特定の加工工程のうち一つでもTPP域内で行われていれば域内部品と認められる。その7品目は日本の自動車メーカーの多くが既にTPP域内で調達できる見込みで、「求められる付加価値の割合は実質的には45%程度になる」(政府関係者)という。
これまで国内の中小の部品メーカーは大手自動車メーカーと一緒に現地への進出を迫られることもあった。TPPによって、現地に進出しなくても、国内に生産拠点を残すことが可能になり、産業の空洞化を防ぐ効果も期待される。
TPP交渉では、自国産業への影響を懸念するメキシコが付加価値の合計で60%以上を要求。タイや中国などTPP域外からの部品調達率が高い日本は40%程度を求め対立していた。