仮想通貨の取り扱いについて政府は昨年「通貨ではない」とし、現行法規制の枠外にした。監督官庁もない。現在は業界団体の自主規制にとどまっている。だが、今年6月にテロ資金対策を担う国際機関の金融活動作業部会(FATF)が仮想通貨の取引所を規制すべきだという報告書を公表し、法律上の体制整備が急務になった。パリでの同時多発テロを受け、各国でテロ資金根絶に向けた仮想通貨の規制対応が加速する見通しだ。
仮想通貨の法規制をめぐっては、ビットコインの大手取引所「マウントゴックス」が巨額のコインを消失して破綻した事件もあり、利用者保護の法整備も不可欠だ。このため、取引所に登録制を導入して、顧客資産と会社資産の分別管理などを義務付ける規制が、資金洗浄やテロ資金対策の規制と並行して検討されている。