TPPの対策大綱の決定を受け、今年度補正予算案などで関連予算の獲得を目指す動きが各省庁から強まりそうだ。安倍晋三政権は成長戦略の目玉と位置付けるが、財務省は財政再建をにらみ“便乗”要求を厳しく牽制(けんせい)。成果目標の設定を求め、費用対効果が見込めるかを厳しく査定する方針だ。
TPP大綱の中で、緊急性の高い施策は、補正予算案と2016年度予算案に盛り込まれる見通し。与党内には営農規模の拡大や輸出の拡大に向けた「攻め」の対策を盛り込むべきだとの主張がある一方、来夏の参院選を控え、農家の補助金対策増額などを求める声も強まっている。
1993年のウルグアイ・ラウンドの合意後には、農業の対策費は6兆円を超えた。だが温泉施設といった無関係の目的に使われるケースが相次ぐなど、「ばらまき」批判が集中した。
こうした経緯も踏まえ、財務省は、TPP対策に関して「金額ありきではだめで、成果目標を立ててもらい、しっかり中身を分析する必要がある」(幹部)と強調。特に、効果の薄い便乗型の要求については厳しく査定する考えだ。(中村智隆)