閣議に臨む甘利明経済再生担当相、安倍晋三首相、麻生太郎財務相(左から)=18日午前、首相官邸【拡大】
しかし、「1億総活躍」関連には、選挙対策と受け取られても仕方がない施策も含まれた。その象徴は、低所得の高齢者に1人当たり3万円を配る給付金だ。景気回復に伴う賃上げの恩恵が及ばない高齢者世帯の消費支出が低迷していることを踏まえ、政府はピンポイントでの消費刺激を狙う。
だが、その規模は09年の定額給付金(1万2000円)と比べても異例で、支給開始時期は参院選直前。これには自民党内からも「高齢者の票目当てのばらまきと受け取られる」との批判は少なくない。
消費拡大策としては14年度補正予算を活用し、自治体が発行した「プレミアム商品券」の方が、貯蓄に回る可能性のある給付金よりも効果的との指摘は強い。
国債費を2年連続で減額し、財政健全化への取り組みは示した形だが、17年4月の消費税再増税と同時導入する軽減税率の必要財源は1兆円に上り、財源確保のめども立っていない。24日には来年度予算案が決定されるが、厳しい財政状況の中、「1億総活躍」の名の下に選挙対策の色合いが強い施策が盛り込まれていけば、国民の反応は冷ややかになる可能性もある。