会見で報道陣に答えるジルマ・ルセフ大統領。支持率が悪化し求心力が低下している=7日、ブラジリア(AP)【拡大】
ブラジリア大学のマウリシオ・ブガリン教授は、ブラジルの経済回復には数年を要すると分析する。14年時点で輸出額全体の49%を占める、鉄鉱石や原油など1次産品の市場価格は低迷し、特に輸出の18%を依存する中国の景気減速がブラジル輸出産業にも暗い影を落とす。GDPの約7割を占めるサービス分野も、高金利や高インフレにより消費が滞り、民間最終消費支出は15年1~3月期に、03年7~9月期以来、初めてマイナス成長を記録した。「1次産品輸出に頼らない輸出構造と国内消費を喚起する経済政策・構造改革が求められる」とブガリン教授は強調する。
一方、為替切り下げ効果による貿易収支の黒字幅拡大や経常収支赤字の圧縮が期待される。15年の高インフレを招いた要因の一つである公共料金の大幅値上げも、既に実施済みであることも踏まえると、インフレの高進が抑制される可能性もある。
問題はペトロブラス汚職問題の収束と政権の求心力回復だ。ルセフ大統領の支持率は低下し続けている。民間調査会社ダータ・フォーリャが11月に公表した世論調査によると、ルセフ大統領を「最悪・悪い」と回答した人は67%に達している。さらに、国民だけでなく、連立与党や大統領自身が所属する労働者党からも支持が得られておらず、政治の混乱を招いている。政治が安定し、構造改革が推進できれば中期的な経済回復に向けた土台を築くことができよう。
ジェトロ・サンパウロ事務所 辻本希世