「世界経済では、中国を含めた新興国経済の減速、米国の利上げの影響などが懸念される。だが、中国については悲観していない。6.5%程度の成長をキープできるとみており、大きなリスク要因にはならない。米国の利上げは時期、規模ともに想定の範囲で、上げ幅もマイルドだった。そのため、新興国経済への影響は限定的だ。米国経済は雇用や経済成長の見通しを含めて、強いんだというメッセージを世界に発信した」
--GDP600兆円に向け、生産性の向上が重要だ
「成熟した日本社会では、どんどん増産するよりも、生産性を高めて競争力を上げていくという取り組みが求められる。それにはすべての機器がインターネットと接続するIoTやロボット技術などを取り込んだ第4次産業革命が必要だ。この分野が経済の牽引(けんいん)役として大きく進み出す年になると同時に、民間設備投資拡大にも役立つことになる。日本はロボット、IoTなど個別では強みはあるが、それが統合されていない面もあり、今年はそれを官民で体系的に統合する必要がある」
--人手不足が問題となっている
「現場の労働力不足は、経済成長の大きな制約になっている。国内への生産拠点回帰を戸惑うのは労働力を確保できないためということもある。女性や高齢者の活用は不可欠だが、外国人活用も避けて通れない。規制を緩和し、もっと門戸を広げてもらいたい。経済連携協定(EPA)の中でアジアの人材を活用できる枠組みがあるが、今は300人にすぎない。数万人規模にする必要はある。資格要件も厳しく、この緩和も必要だ。一気に移民というのは無理だが、外国人労働者の拡充が不可欠と、今年はより大きな声で発信しなくてはいけない」