8日に発売される「注釈本」は、原書が全2巻計約780ページだったのに対し、全2巻計約2千ページに上る。研究所の責任者、クリス・ハルトマン氏は「爆発物処理のようなものだ。ナチス時代の遺物を無害化することになる」と語る。また、連邦政府のワンカ教育相は独メディアに「政治教育にも寄与する」と述べ、学校教育でも注釈本を活用すべきだとの考えを示した。
ただし、バイエルンなど各州は原書のままの再出版については、特定の人々への憎悪をあおる行為を禁じた民衆扇動罪にあたるとして阻止する方針だ。これに対し、専門家には「国民はもう理性的に対応できる」との意見もあり、世論調査の結果では、回答者の約51%が同方針に反対した。
一方、独ユダヤ人評議会は注釈本を容認しつつも、原書のままの出版には反対を表明。ユダヤ人関係者には「何が起きるか予期できない」(同評議会元幹部)と再出版へ不安も根強い。