「政府の中の何人かの主要な高官が、『大義は日朝国交正常化であり、拉致問題はその障害にしかすぎない』と言っていた」
こういう時代にあって、拉致問題に取り組むことは政治利用の道具・材料となるどころか、政治家にとってむしろ不利に働くことの方が多かっただろう。
そもそも、民主党に拉致問題で安倍首相を批判する資格があるだろうか。民主党議員で、拉致実行犯で北朝鮮本国では拉致被害者の監視役も務めていた辛光洙元死刑囚の助命・釈放嘆願書に署名した人の名前は何人も思いつく。
それも菅直人元首相、江田五月元参院議長、千葉景子元法相…。民主党政権で主要ポストにいた人物ばかりである。民主党は、自分のことは棚に上げる癖をもう少し直さないと再び国民の期待を集めることなど無理な話だろう。
(論説委員兼政治部編集委員)