訪日外国人の旅行消費額について説明する石井国交相=19日午前、国交省【拡大】
石井啓一国土交通相は19日、2015年の訪日外国人旅行者数が前年比47%増の約1974万人、旅行消費額が71%増の3兆4771億円に上ったと発表した。人数、消費額ともに過去最高だった14年(1341万人、2兆278億円)を大幅に上回った。今年については「急激な増加が続くとは考えにくい」との見通しを示した。昨年の急増を強く牽引(けんいん)した中国で経済の先行き不透明感が高まっているためだ。年明け以降の円高進行が加速し、訪日旅行の人気に水を差す懸念もぬぐえない。
訪日客数の急増は「観光立国」を目指し、政府が進めてきたアジア諸国からの訪日客に対するビザ発給要件の緩和措置、外国人向け消費税免税制度の拡充に加え、円安が背景にある。
訪日客数を国・地域別にみると、米国が初めて100万人を超えたほか、韓国は400万人、台湾も300万人の大台をそれぞれ突破した。
伸びが最も大きかったのは中国で、前年比約2.1倍の499万人。14年11月に安倍晋三首相と習近平国家主席が首脳会談を行い、「政治的緊張の緩和がプラスに働いた」(田村明比古観光庁長官)模様だ。