日銀が掲げる2%の物価上昇率目標について、従来指標としていたエネルギーを含む消費者物価指数(CPI)に加え、生鮮食品とエネルギーを除いた「日銀版の消費者物価」を新たな指標とする検討に入ったことが25日、分かった。CPIは原油価格の急落で前年比横ばいの水準が続く。日用品価格が上昇する中で「企業や家計の物価観とは乖離してきた」(幹部)ことから基準を広げる。
日銀版の消費者物価は、昨年11月まで3カ月連続で前年比1・2%上昇しており、1年程度での物価上昇率2%達成が現実味を帯びてくる。
日銀は、総務省が毎月集計し、幅広い品目を網羅する消費者物価の総合指数を指標に、前年比2%の物価上昇率を目標としている。だが、生鮮食品は市況による価格変動が大きく、日銀が3カ月ごとに公表する「経済・物価情勢の展望」(展望リポート)では、生鮮食品を除く指数で物価見通しを示していた。
その後の大幅な原油安で、生鮮食品を除く物価は前年比0%程度に落ち込んだ。このため日銀は生鮮食品とエネルギーを除く日銀版の消費者物価を、変動要因を排した「物価の基調」として重視する。
28、29日の金融政策決定会合で「平成28年度後半ごろ」としている2%目標の達成時期を先送りする見込みだ。日銀幹部は「日銀版の物価が2%に到達すれば、大規模金融緩和は成功」と打ち明けた。