日銀は8日、新たな金融緩和策として「マイナス金利」の導入を決めた1月28、29日の金融政策決定会合での「主な意見」を公表した。出席した政策委員からは「金融機関や預金者の混乱・不安を高める恐れがある」などと反対意見も続出し、激論が交わされたことが浮き彫りになった。
日銀はこの会合で、民間銀行が日銀に預ける当座預金の一部に年0・1%の手数料を課すマイナス金利の導入を決めた。採決は政策委員9人のうち4人が反対する僅差で、複数の委員は原油安や金融市場のリスク回避の動きが「物価の基調」に悪影響を及ぼすとの懸念を指摘した。
その上で、黒田東彦総裁ら賛成派は「追加緩和で(物価下ぶれの)リスクを未然に防ぐべきだ」「マイナス金利は、大規模な国債買い入れと合わせ、(人々の)予想金利を一層引き下げる効果を発揮する」などと提案した。
反対派は、「(昨年12月の)緩和補強策の直後のマイナス金利導入は、資産買い入れの限界と受け止められる」などと主張。金利低下で輸出産業に有利な円安が進みやすくなり「他国中央銀行とのマイナス金利競争に陥る」との指摘も出た。
大規模緩和による低金利で銀行の利ざや確保が難しくなっており「金融機関の収益性をさらに悪化させる」との懸念も示された。オブザーバーの政府出席者からも「対外的に丁寧に説明することが重要」と、市場との対話を慎重に行うよう求める意見があった。