11日の海外市場で、安全資産とされる円の対ドル相場が一時1ドル=110円台へ急騰する一方、原油価格は1バレル=26ドル台へ下落しアジア株も軟調に推移、投資マネーのリスク回避の動きが加速してきた。世界経済失速への警戒感が増したためだ。米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は10日、追加利上げペースの減速を示唆。市場の混乱が収まる兆しは見えない。急激な円高で日本の輸出関連企業の採算悪化が懸念されるなど国内経済に悪影響が及ぶ恐れが強まってきた。
円相場は11日のロンドン市場で急上昇、一時110円台後半をつけ、約1年3カ月ぶりの高値を記録した。イエレン議長が10日の議会証言で「景気回復が期待外れならば利上げをより緩やかなペースにするのが適切」と指摘。早期の追加利上げはないとの見方が強まり、ドルを売って円を買う動きが加速した。
議長が、株価の下落基調や著しいドル高などが米国経済の圧迫要因になっているとの認識を示したことも、円買いドル売りの動きに拍車をかけた。
11日の東京市場は祝日のため休場。円相場は10日、最後に取引された114円88~89銭に比べ4円近く上昇しており、12日の東京市場の反応が市場関係者の関心を集めている。市場では「110円の大台突破を視野に入れる必要がある」(米系大手証券)との声が上がっていた。
相場変動リスクが大きい原油や株式の相場は11日、軟調に推移。ニューヨーク市場で原油先物相場は下落し米国産標準油種(WTI)3月渡しが時間外取引で約3週間ぶりの安値となる1バレル=26ドル台半ばをつける場面があった。アジアの主要株式相場は軒並み下落した。(共同)