休日明け12日の東京市場は、世界経済の先行きへの不安や前日の欧米市場の大幅な株価下落などで投資家心理が一段と悪化し、大幅な株安と円高が進んだ。日経平均株価は大幅続落し、取引時間中としては平成26年10月21日以来、約1年4カ月ぶりに1万5千円の大台を割り込んだ。円相場も急伸し、一時1ドル=111円台後半と10日夕方に比べ3円程度も円高ドル安に振れる場面があった。
午前終値は休日前の10日終値比838円74銭安の1万4874円65銭だった。
11日の欧州市場は主要国の株価指数が大幅下落。米国市場のダウ工業株30種平均も5営業日続落し、前日比254ドル56セント安の1万5660ドル18セントと約2年ぶりの安値水準で終えた。ロンドン市場では円が対ドルで急騰し、一時110円台後半をつけ、約1年3カ月ぶりの高値をつけた。また、ニューヨーク原油先物相場は一時1バレル=26台前半となり、約12年9カ月ぶりの安値水準まで落ち込んだ。
12日の東京市場はこうした海外の悪い流れを引き継ぎ、リスク資産である株式が売られ、円など比較的安全な資産にマネーが流れ込んだ。株式市場では、急激な円高が進んだことで今後の企業業績への懸念が広がり、輸出関連株を中心に幅広い銘柄が売られ、全面安の展開となった。午前終値の10日終値比での下げ幅は800円を超えた。
原油安や中国経済の減速といった従来のリスク要因に加え、これまで好調とされてきた米国経済に陰りがみえてきたことや、欧州の一部銀行の信用不安など、多くの悪材料が一挙に押し寄せており、投資家心理の悪化に歯止めがかからない状況となっている。
ニッセイ基礎研究所の上野剛志シニアエコノミストは「世界経済への不安がどんどん膨らんでいる。しばらくは株安・円高のリスクは続くだろう」と話した。