【専欄】全人代で垣間見える「内部」 拓殖大学名誉教授・藤村幸義

2016.3.16 05:00

 全国人民代表大会(全人代、国会に相当)の期間中は、全人代代表だけでなく、政府各部門のトップクラスの幹部も、記者の質問にわりと気軽に応対する。そうした中から普段は厚いカーテンに閉ざされてほとんど分からない内部での議論や意見対立の様子が垣間見えてくる。そのいくつかを拾ってみよう。

 まずは原子力発電所の建設地点を沿海部だけでなく内陸部にも認めるかどうかの議論である。これまでは福島での原発事故を受けて、原発建設を少数に限定し、建設地点も沿海部に限る、との方針を取ってきた。ところが新5カ年計画の作成が進むにつれて、凍結解除を見込んだ動きが活発化していた。

 これに対してヌル・ベクリ(努爾・白克力)国家発展改革委員会副主任・国家エネルギー局長は記者団に、「原発の内陸部建設についてはまだ議論があるので、各方面の意見を聞く必要がある。安全が保証されれば再開の提案を国務院(内閣)にするが、現在のところいつになるかは分からない」と語った。今後も激しい議論が続きそうだ。

 個人所得税の課税最低限については、引き上げ論議が活発だった。ところが楼継偉財政相は、「個人所得税の課税最低限を一律に引き上げるのは不公平だ」と発言。その理由として「仮に月5000元(約8万7400円)の所得があっても、子女や老人を抱えていれば生活は苦しい。それなのに、一律に引き上げるというのは、我々の目指している改革の方向ではない」と述べた。さてこの説明で国民を納得させられるかどうか。

 不正幹部摘発で多くの幹部が更迭となった山西省。同省の王儒林党委書記が「いまだに300人ものポストが空位のまま」と驚くような数字を明らかにした。

 山西省では7万人の幹部を対象に審査を行い、その中から不正を働いた860人もの幹部を更迭した。これだけ多くの幹部の後任を埋めるのは簡単ではない。性急に任命すれば、その中から再び不正を働く幹部が出てこないとも限らない。候補者に対する厳しい“身体検査”がなお、続きそうである。

 思わぬ失言も飛び出した。黒竜江省の石炭会社での賃金未払い問題について、陸昊省長が「これまでのところ賃金の未払いは全くない」と発言。これに反発した労働者が大規模なデモを起こし、はからずも問題が明るみに出てしまった。陸省長も「解決に努める」と前言を翻さざるを得なかった。

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