【中国全人代2016】ざわめく場内、予算採択に異例の批判票14% 李首相、「ゾンビ企業」切りへ問われる覚悟

2016.3.16 20:58

全人代が閉幕し、記者会見する中国の李克強首相=16日、北京の人民大会堂(共同)

全人代が閉幕し、記者会見する中国の李克強首相=16日、北京の人民大会堂(共同)【拡大】

 【北京=河崎真澄】中国の李克強首相は16日、2013年の就任から4回目となる全国人民代表大会(全人代=国会)閉幕後の記者会見に臨み、「改革さえ堅持すれば、中国経済にハードランディング(急激な悪化)はない」と自信を示した。だが、製造業を中心に実体経済は低迷、株式など金融市場の混迷も続く。

 崖っぷちに追い込まれた経済をどこまでシナリオ通りに安定させられるか。国有企業を統廃合する構造改革に立ちはだかる抵抗勢力を前に、「断行」への覚悟が改めて問われている。

 約2時間に及んだ記者会見で李氏は国内外の記者17人から質問を受けた。対外関係も含め、15人までが経済政策を問いただした。

 習近平国家主席への権力集中が加速する中、同日の閉幕式の会場ではさえない表情だった李氏だが、自身にとっては年に一度の最大の政治舞台である記者会見では口調もなめらか。「中国経済をめぐる希望は困難よりもはるかに大きい」などと模範解答に徹した。

 昨年来の株式市場混乱をめぐっては、「総合的な市場安定策で金融システムのリスク発生を抑えた」と発言。「ゾンビ企業」とされる国有企業改革で600万人にのぼる失業者対策については、「十分な財政能力がある」と切り返した。

 失業対策に1千億元(約1兆7400億円)を拠出することや、減税も含む財政出動拡大を盛り込んだ今年の中央と地方の予算案が同日、全人代で政府案通り採択されたことが念頭にある。ただ、採択の際に起きた波乱がこの先、分け入るいばらの道を思わせた。

 採択された9議案のうち国内総生産(GDP)に対する財政赤字の割合を過去最高の3%に引き上げた予算案で、棄権も含む批判票が389票と投票数2856票の14%近くを占め、議場内が一瞬ざわめいた。

 北京の経済学者は「景気低迷でさらなる財政出動を求める代表と、バブル再燃に懸念を抱く代表の双方の不満が異例の批判票として重なった」とみている。

 地元のゾンビ企業をなんとか生き残らせたい地方政府の幹部を含む既得権益層も、巨額の失業対策や公共投資の再加速が構造改革のスピードに追いつかず、逆に失速しかねないと不安を抱く層も、少なからず習指導部の構造改革案に抵抗感を抱いたことを示した。

 20年までの「第13次5カ年計画」で、計画経済時代の残滓ともいえる国有企業の構造改革は待ったなしとの認識は強まるが、「総論賛成、各論反対」を唱える見えざる抵抗勢力が、政策運営を阻む動きに出る可能性をうかがわせた。「改革と発展は矛盾しない」との李氏の訴えとは裏腹に、ハードランディングの危機は静かに忍び寄っている。

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