15日、ワシントンで記念写真に納まるG20財務相・中央銀行総裁ら(ロイター=共同)【拡大】
米ワシントンで開かれた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議は15日閉幕し、国際的な課税逃れを阻止するため連携を強化する声明を発表した。資金の流れの監視を強め、新たな基準で非協力国を特定し制裁も検討する。景気を下支えする政策総動員で合意し、機動的な財政出動の活用を強調した。
タックスヘイブン(租税回避地)を使った不透明な取引を明るみに出した「パナマ文書」問題を受け、課税逃れ対策に焦点が当たる異例の会合となった。不正な資産隠しに対し実効性のある国際包囲網を築けるかどうかが今後の課題となる。
麻生太郎財務相は会議終了後の記者会見で、今回の対策について「極めて有効に働く。パナマ文書が出てきたおかげで関心が高まった」との見解を示した。
声明には、不正の温床となりやすいタックスヘイブンなどの透明性を高め、実質的な法人所有者を特定して各国当局間で情報交換すると明記した。脱税やマネーロンダリング(資金洗浄)の防止につなげる。
経済協力開発機構(OECD)に対し、脱税防止に非協力的な国・地域を特定するための基準を7月までに作成するよう指示した。また、銀行口座情報を交換する国際的な枠組みへの参加を全ての関係国に要請した。
世界経済については中国の減速や原油安などを念頭に「成長が緩やかで、下振れリスクや不確実性が残っている」と言及した。各国が頼ってきた金融政策だけでは均衡ある成長につながらないとし、構造改革と合わせ、機動的な財政政策に取り組む方針を掲げた。
為替相場に関しては、これまでの合意内容を踏襲し「過度な変動や無秩序な動きは経済や金融の安定に悪影響を与え得る」との認識で一致した。通貨安競争を回避することも改めて確認した。(ワシントン 共同)