例えば、代表的な租税回避の方法として、“永遠の旅行者”というものがある。これは183日以上滞在している国に税を収めなくてはいけないという欧米のルールを悪用し、複数の国を渡り歩くことで、どこの国にも税を収めない人を指す。ただ、日本では主たる居住地や活動拠点があることが納税義務の要件になっており、残念ながらこの手法は使えない。
また、行政の運用の穴を利用し、課税の基準日である12月31日に合わせ海外旅行をすることで税逃れをしている人もいる。だが、これも脱税でしかない。
また、グローバル企業などがオフショアに権利会社を移し、各国の法人から特許料や看板料などの形で利益を吸い取り、税を払わない手法に関しても、実態から見て脱税であると判断されるケースが増えている。
仕組みとしては、まずA社がタックスヘイブン(租税回避地)に権利会社をつくる。そして、A社の日本法人で10億円の利益が出たとして、A社が日本法人に対して看板料10億円を請求する。A社はそれを払い(経費で落とし)利益をゼロにするという流れだ。これでは真面目にやっている国内企業が不利になるだけ。他国のように過去に遡(さかのぼ)って追徴課税すべきだ。
なぜこのようなことが可能だったかといえば、納税は各国の内政の問題であり、国をまたがる協力システムが整っていなかったからにすぎない。既にこの協力体制は整ってきており、今回のパナマ文書をきっかけに、さらなる協力体制が構築されるものと思われる。
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【プロフィル】渡辺哲也
わたなべ・てつや 経済評論家。日大法卒。貿易会社に勤務した後、独立。複数の企業運営などに携わる。著書は「突き破る日本経済」など多数。45歳。愛知県出身。