首相官邸で開かれた非常災害対策本部会議であいさつする安倍首相(右から2人目)=21日午後【拡大】
政府は21日、相次ぐ地震で被災した熊本県と県内の16市町村に、6月に配る予定の普通交付税のうち計421億3000万円を前倒しして22日に配ることを決めた。災害対応や復旧工事などに必要な現金を確保できるようにする。
熊本、大分両県の地震被害について、大型連休前の来週にも激甚災害指定を閣議決定する方針だ。指定に向け、復旧に必要な見込み額の算定を急いでいる。
高市早苗総務相は、首相官邸で記者団に「役場や多くの公共施設も損壊しており、引き続きしっかりと財政支援したい」と述べた。
交付税の配分の内訳は、熊本県が265億6000万円。市町村では、熊本市が54億4700万円で最も多く、八代市が27億8900万円、宇城市が17億8400万円。6月の見込み額の県は5割、市町村は7割を配る。
普通交付税は自治体の財源不足を補うため、国が4、6、9、11月の年4回配っている。
激甚災害は、道路、橋、下水道などの公共インフラや農業関連施設について、復旧に必要な額が一定基準を上回れば、指定対象となる。政府は、熊本県などによる被害把握作業を支援している。
指定されると、自治体が復旧事業を実施する際、通常は費用の5~8割程度となっている国の補助率が1~2割程度上乗せされる。中小企業関連の被害が指定されれば、被災企業が金融機関から再建資金を借りやすくなる。
かつては発生から指定まで2カ月程度かかるケースが多かったが、近年の災害では期間が短くなっている。11年の東日本大震災は発生翌日に、昨年9月の関東・東北豪雨は翌10月6日に閣議決定された。