逆に、業界内の空気を読んで行動すれば、業界の利益代表になってしまう。監督官庁である金融庁の言うがままになれば、職業専門家の自主規制機関という名が廃る。独立性が命である会計監査への信頼を取り戻すことは難しい。
会計監査は日本の資本市場の信頼の要だ。上場企業が公表する決算書などにウソがないという「証明書」に会計士がサインするわけだが、次から次へと不正が発覚するようでは、日本企業の決算書全体が信用できないということになる。
海外の機関投資家などからすれば、何が飛び出すか分からない日本企業の株式には危なくて投資できないということになりかねない。
実際、東芝問題で東芝や新日本の処分が決まったのが昨年末。結局、上場廃止などの厳罰は見送られた。その後、年明けから海外投資家の日本株の売り越しが続いている。その一因に、監査不信があったとしても不思議ではない。
何度も繰り返される日本企業の会計不正を根絶するには、過去の延長にある対策では不可能だ。信頼回復への思い切った改革を女性会長に期待したい。
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【プロフィル】磯山友幸
いそやま・ともゆき 早大政経卒。日本経済新聞社で24年間記者を務め2011年に独立。54歳。