安倍晋三首相は2日午前(日本時間同日午後)、2017年4月に予定する消費税率10%への引き上げの可否について26、27両日に開く主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)での議論を踏まえ判断する考えを示した。夏の参院選に合わせた衆参同日選の可能性に関し「(衆院)解散の『か』の字も考えていない」と述べた。当面、熊本地震への対応を最優先とする一方、日本経済に与える影響や、復旧状況を見極めて、最終的な結論を出す方針とみられる。
イタリア・フィレンツェで同行記者団の質問に答えた。消費税再増税に関し「先進7カ国(G7)で世界経済の状況をどのように認識するか議論し、国際金融経済分析会合の議論をもう一度精査したい」と述べた。同時に「消費税は中長期的に見れば、社会保障制度の安定に資することは議論を待たない。一方、8%への引き上げの影響が予想以上に消費に影響を与えたのも事実だ」と指摘した。
伊勢志摩サミットに関し、金融政策や財政出動、構造改革といった手段を駆使し「G7版の三本の矢を放つ必要がある。世界へ明確なメッセージを発信したい」とした。今回の欧州各国首脳との会談で「G7が世界経済の持続的かつ力強い成長を牽引(けんいん)しなければならないという認識を共有したい」と語った。
再増税を見送る場合は解散に踏み切るか問われたのに対し「そもそも解散は全く考えていないから、現時点ではお答えのしようがない。適切な判断をしなければならない」と述べるにとどめた。(フィレンツェ 共同)