政府は17日の閣議で、平成27年度版の「農業白書(食料・農業・農村の動向)」を決定した。今年2月に署名が行われた環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)について巻頭で特集し、日本の国内総生産(GDP)押し上げ効果など発効の意義を改めて説明した。
TPP発効により「12カ国合わせて8億人を超える巨大経済圏が誕生し、わが国の暮らしや企業活動などにさまざまな利点をもたらすことが期待される」と指摘。一方で、日本の関税削減などにより「海外の農林水産物との競争が起きる可能性があるなど課題もある」としている。
ただ、農林水産分野への影響は政府が対策を講じることにより「引き続き農家所得が確保され、国内生産量が維持される」と分析。海外の安い農林水産物が流入しても日本の生産額の減少は最大2100億円にとどまるとする一方、日本全体のGDPは13兆6000億円拡大するとの政府試算を改めて示し、TPPの意義を強調した。