安倍政権がまとめた骨太方針素案は、保育士や介護職員の処遇改善など財政支出を伴う施策を並べた一方、財源として税収増を当てにする成長頼みの従来姿勢を維持した。景気次第では税収が伸び悩み、経済、財政ともに行き詰まる危うさをはらんでいる。
少子高齢化を最重要課題と位置付けた点に異論は少ないだろう。待機児童対策や介護支援を拡充し、女性を含め誰もが安心して働きに出られる社会をつくることは待ったなしの課題と言える。
ただ、財源確保の前提となる景気の先行きは楽観できない。新興国経済の成長鈍化や円高株安が響き、上場企業の2016年3月期の最終利益合計は4年ぶりの減益になる見通しだ。
1~3月期の国内総生産(GDP)でも景気の足踏み状態が確認され、熊本地震の影響が表れる4月以降は厳しい状況が予想される。
痛みを伴う財政再建は後回しにされがちで、社会保障の財源を賄う消費税率10%への引き上げには慎重論が強く、予定通り実施されるかどうか予断を許さない状況だ。与党内からは、日銀のマイナス金利政策に伴う金利低下で国の借金利払いが減る環境を有効活用すべきだといった声も、既に上がり始めている。
こうした財政規律の緩みが将来的な金利急騰といった危機につながるリスクに対しても警戒を怠るべきではない。