【上海=河崎真澄】中長期的なマイナス傾向が貿易統計にくっきり表れた中国で、経済の先行き懸念が一段と強まっている。国内総生産(GDP)など経済統計で信頼性に欠ける中国だが、取引相手が海外にいるだけに貿易数字は化粧しきれず、経済実態に近い。
海外事情をよく知るエコノミストを多数抱える中国人民銀行(中央銀行)。今年通年の輸出が前年比1.0%減少するとの予測を8日、公表した。3.1%増と希望的な観測をしていた昨年末の予測から判断を一転させた「良心的なリポート」(市場関係者)だ。
輸入の予測も3.2%減と、昨年末の2.3%増から下方修正した。人民銀行が輸出入ともマイナスに予測を変えたことは注目に値する。中国が世界からモノを買う力も衰えている。
さらに国内では、習近平指導部が「新常態(ニューノーマル)」と呼ぶ経済構造改革の遅れが危険水域に達しつつある。鍵を握る赤字続きの“国有ゾンビ企業”退治が、既得権益層の抵抗で進まないからだ。
ルー米財務長官が米中戦略・経済対話の閉幕後、7日の会見で「中国が過剰生産の解消を確約した」と述べた鉄鋼分野。だが、8日の貿易統計で1~5月の中国の鋼材輸出が数量ベースで、前年同期比6.4%増だったことが分かった。